ご寄附による活動
ご寄附のお願い
結核研究所では、以下の活動を行うためのご寄附をお願いしております。皆さまの温かいご支援ご協力をお願い申し上げます。
- 結核に関する研究
- 結核への知識を深め、結核対策を推進するための研修
- 途上国の結核対策を支援するための国際協力
- 結核研究所の運営、他
また、結核予防会では、結核と胸の病気をなくすための活動への募金を呼び掛けております。
結核予防会は、内閣府より公益財団法人としての認定を受けています。結核予防会及び結核研究所への募金やご寄附は、特定公益増進法人への寄附となり、税法上の優遇措置(寄附金控除等)が適用されます。
ご寄附のご案内・申し込み
複十字シール募金
寄附金控除・表彰制度
活動のご報告
いただいた寄附金を以下の事業に活用させていただきました。
2023年度
結核感受性に関与する転写因子MafBによる結核肉芽腫形成の制御
世界の人口の約4分の1が、結核菌に感染しています。そのうち、一部の人が結核を発病します。結核菌に感染している人が結核を発病しやすいかどうかを調べて早期治療を行うことができれば、発病や広がりを抑えられます。最終的に、結核になる人の数を減らすことができます。
私たちはこれまでに、マクロファージの分化に関わる遺伝子であるMAFBに注目して、結核感染制御における役割を明らかにしてきました。本寄付では、マクロファージでのMafbの発現がないマウスに結核菌を感染させ、生体での結核菌感染防御におけるMafbの機能について明らかにしました。本研究結果は、結核発病メカニズムの解明にもつながります。
結核および難治性肺抗酸菌症における肉芽腫形成機構の解析
私たち生体防御部では、引き続き結核菌や肺非結核性抗酸菌(NTM)を感染させた動物モデルを用いて研究を行っています。動物モデルで発見した疾患バイオマーカーがヒト疾患のどのような段階、状況を反映するかを評価して、ヒト疾患の早期発見、発症予測に利用できるバイオマーカーを探索しています。
ご寄付によって、ヒト結核と同様の病変を形成することが知られているマウスモデルを用いて、単細胞RNAシークエンス(scRNA-seq)を行いました。scRNA-seqによって、結核病変を構成する免疫細胞の多様性を明らかにすることができました。また、それぞれの細胞集団中に特徴的な遺伝子発現を行う亜集団を見出すことができました。この研究を推進することで、結核や肺NTM症での病変形成過程を明らかにすることができます。
結核患者における全血液トランスクリプト・バリアントの多様性の検討
結核による健康被害を最小限に抑え、世界中の人々の健康に貢献するために、わたしたちは、結核の重症度や治療効果判定に役立つ指標としてメッセンジャーRNA(mRNA)に注目しています。mRNAはワクチンとしてCOVID-19の予防に用いられたために、よく知られるようになりました。ヒトの細胞において、遺伝子情報を保持しているゲノムDNA配列が、mRNAに写しとられ(転写)、mRNAがタンパク質合成の鋳型として働く(翻訳)という流れは、生命現象の基礎となる大切なプロセスです。
近年、次世代シークエンサー、第3世代シークエンサーと呼ばれる新しい技術により、体の中のさまざまな遺伝子がどれだけの量、転写されているか調べることができるようになりましたが、同じ遺伝子でも転写の始まる位置が異なると、その違いがタンパク質の機能の違いとなり、さまざまな病気と関係することがわかってきました。しかし長いmRNAのどこから転写が始まるのかを一度に見分ける方法はいまだ十分ではありません。そこで、今回の研究では、第3世代シークエンサーの一つである、オックスフォードナノポア社の技術を改良して、できるだけ長くmRNAの全長を読み取る方法を工夫しました。
この方法により、従来よりも結核患者さんの白血球中のmRNAから結核にかかわる特徴を詳細に捉えることができるようになり、新たな診断法の開発に一歩近づきました。
2022年度
結核、および肺非結核性抗酸菌症マウスモデルにおける病変組織の構造理解
生体防御部では、国内での結核や肺非結核性抗酸菌(NTM)症患者の早期発見、および発症予測するバイオマーカーを探索する研究を行っています。研究では、結核菌やNTMを感染させた動物モデルを用いています。動物モデルで発見したバイオマーカーがヒト疾患のどのような段階、状況を反映しているかを評価する必要があります。
ご寄付によって、結核菌やNTMを感染させたマウス肺内で形成される病変構造をマイクロCTによって詳細に解析することができました。この研究を推進することで、結核や肺NTM症での病変がどのように形成されるか解明することができます。
Japan – Nepal Health & TB Research Association (JANTRA)への車両の寄贈(梅村基金による事業)
ネパールでは現地NGOであるJapan – Nepal Health & TB Research Association (JANTRA)が結核予防会ネパール事務所と共同で、外務省日本NGO連携無償資金協力を活用し、「カトマンズ市における積極的結核患者発見プロジェクト」を行っています。その活動として、カトマンズ市の中で結核に感染するリスクが高い貧困層や工場を管轄する保健施設を対象に、ボランティアや薬店を巻き込んだ結核患者発見の導入や、放射線や高感度の診断機器を用いた結核検診による積極的な患者発見、適切な治療が患者に提供されるよう医療従事者対象の研修、結核対策が医療施設の現場で適切に行われているか確認するためモニタリング監督指導が計画されていますが、カトマンズ市内は道路が細く、入り組んでおり、活動実施のための移動手段として小型車両が欠かせない状況です。寄贈された車両は、このプロジェクトの現場で活用されています。
現地からの報告
※故梅村典裕先生は、行政での経験、JICAのネパール支援専門家等を経て、結核予防会の職員として、ネパールを中心とした国際事業に長期に貢献されました。ネパールには特に思い入れが強く、そのご遺志をもとに、奥様よりネパールのためにと多額のご遺贈金を当研究所に寄付されました。当研究所では、そのご遺志を受けて梅村基金として位置づけ、結核予防会の国際事業を中心に、ネパールの結核事業や人材育成のために基金を活用させていただいております。この度も、その一環で車の寄贈を行いました。梅村号の名前を付けた車がネパールの村々を走ります。今後の益々の活動が期待されています。