ストップ結核作戦ニュースNo.3
ストップ結核作戦運営会議開催
2000年1月13日〜14日/ワシントン(米国)

結核研究所国際協力部 企画調査科長 須知雅史

 

 STOP TB Initiative Steering Meeting(ストップ結核作戦運営会議)が、2000年1月13〜14日の2日間、米国ワシントンDCの合衆国国際開発庁(USAID)ロナルド・レーガン・ビルにおいて開催されました。

主な議題と参加者

 今回の会議は、以下に示す議題について、複十字誌(No.270)1999年11月号でお伝えしたIUATLD世界会議(マドリード)のその後の進展を報告し、それについて意見を求めるというものでした。ソロス財団、ロックフェラー財団、ハーバード大学、USAID、疾病対策予防センター(CDC)、国立衛生研究所(NIH)など米国からの参加者や、国連児童基金(UNICEF)、世界銀行(WB)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)などの国際機関からの参加者が多かったのが特徴でした。

「結核撲滅のための世界的協調合意」

 作業部会長であるオランダ結核予防会理事長から、「結核撲滅のための世界的協調合意」は各国政府(特に結核高負担国)、開発機関、そしてNGOなどが結核対策へ積極的に関与することに合意するものであると説明があり、各国がその合意に向かって進んでいるかの指標(例えば、DOTS戦略を利用可能な人口の割合)で評価することが重要であることが強調されました。第1段階として世界的・一般的なものを作成し、第2段階として各国(特に結核高負担国)とその国で活動するパートナーによる活動計画を作成するというものです。多くの機関・団体が、多くの活動に積極的関与を表明するようになっているので、形成していくプロセス・意見調整が大切ではないかと思われます。

「世界薬剤基金」

 これは国家結核対策への薬剤供給を向上させるため、つなぎ基金、緊急基金、技術支援、オペレーションズ・リサーチをその活動の柱とし、最初の立ち上げ5年間に5000万ドル、その後の5年間に1億2500万ドルの資金が必要とされます。質疑では、基本薬剤計画や二国間政府援助との関係、NGOや私的機関が掌握できるか、税金、対象国の選定基準、運営組織をどうするか、薬剤耐性の発現を助長しないか、などの問題が提示され、今後の課題としてさらに検討することになりました。

「結核と持続可能な開発についての大臣会議」

 この大臣会議は、オランダ政府の支援により2000年3月22〜24日にかけて、アムステルダムにて開催が予定されているもので、第一義的には20カ国の結核高負担国の保健、財務、開発計画省の大臣を招き、彼らの結核対策への取り組みを促進するものです。さらにWHOをはじめとして、WB、UNAIDS、UNICEFなどの国連機関の長や、支援国、民間基金、NGOの代表なども招待される予定です。質疑では、より結核とHIV/AIDSとの関係を強調した方がよいという意見や、宣言文に対して署名をするのか、するならば高負担国だけでなく援助国や開発機関を含むか、含むとして援助国などは署名に同意するか、などの議論がなされました。この大臣会議については(2000年1月18〜20日)、バンコクにて結核高負担国の保健省幹部を招いての準備会議を行う予定で、以上の課題は、さらにそこで討議されることとなりました。
 ストップ結核作戦が、徐々にではありますが動き始めていると実感した2日間でした。


Updated 00/08/11