国際研修に参加してフィリピンのTeleron先生のコメント |
5月12日から6月20日までの間、結核研究所の国際研修「国家結核プログラム管理コース」に参加されたフィリピンのElaine Teleron先生にコメントをいただきました。 テレロン先生は1992年に「結核対策集団コース」に参加しており、今回は2度目の研修参加です。Q:研修に参加された感想とフィリピンの結核対策について教えて下さい。
A:この研修コースは、私にとってとてもタイムリーなものでした。というのは私が国家結核対策計画の調整官をしているセブ市およびセブ州では、JICA(国際協力事業団)による結核対策プロジェクトが行われているからです。 このプロジェクトは92年に始まり、結核研究所の須知先生(現国際協力部企画調査科長)がずっとチーフアドバイザーとして活躍され、私は現地側のカウンターパートとして活動してきました。97年の8月にいったん終了しますが、9月にはまた新たなプロジェクトとして始まります。
プロジェクト当初の92年、政府は全国の行政の地方分権を導入しました。結核対策も他の保健サービス同様、従来は中央政府とその出先機関が執行していましたが、現在は州、市、町村、バランガイ(市町村の小地域の地区自治組織)がそれぞれ責任を負っています。 この転換には私たちもずいぶん苦労しました。しかし、私たちのプロジェクトはそれを克服し、菌検査室のネットワークの強化、要員の研修、優れた監督などを通して、プロジェクトは完成に近づいています。
Q:今回の研修コースで何を学ばれましたか。
A:統計学、結核問題の重大さ、DOTS(直接監視下短期化学療法)の重要性、国の状況に応じた結核対策計画の立案などを学びました。 先生方に教えられること以外に、他の国の参加者の経験発表も大変ためになりました。例えばネパールの薬剤供給システム、タンザニアの業務監督制度などです。
でも、最も大切なのは、私がJICAプロジェクトのカウンターパートとして受けた業務内訓練だったと思います。 研修は目指すべきところを教えてくれますが、真によき対策責任者になるには業務内訓練が不可欠で、またそれによって仕事にかなり自信がつくようになると思います。
研修旅行では広島、三重、愛知に行きました。これは今までの私たちの日本観を広げてくれました。広島では戦争の傷跡に心を打たれ、三重ではミキモト、ホンダの工場を見学しました。 私は結核のほかに職業病予防も担当しているので、興味深く思いました。大泉保健相談所(練馬区)では、地域住民の保健サービスへの参加の重要性に気づきました。
Q:日本での生活はいかがですか。
A:ホームシックになる時もありましたが、ファックスを家に送ったり、近くにある協会でミサに出たりして、心を落ち着かせました。 清瀬では他の研修コースなどで来ている方々も交えてパーティーを開いて下さり、まるで一つの大家族みたいでした。 研究所の設備も充実していて、セミナールームやパソコンなど快適に利用することができました。
日本はいろんな面で私たちのリーダーです。また結核研究所は理想的な専門家を派遣してくれます。私たちはこのようなすばらしい研修プログラムに感謝しています。 アリガトゴザイマシタ。