CONTENTS
1 日本版DOTSの拡大推進に向けて
2 世界のDOTS戦略から21世紀型日本版DOTS戦略へ
4 「医師臨床研修コース」について
5 ホームページに寄せられたメールから
6 第62回日本公衆衛生学会総会自由集会
7 第62回日本公衆衛生学会総会ブースに展示して
8 結核研究所活動報告


       日本版DOTSの拡大推進に向けて
              理解と実践のためのポイント                  

財団法人結核予防会 結核研究所 所長  森  亨

全国的な拡大はこれから
 新たな日本版DOTS事業の要綱が厚生労働省から出されて、ほぼ1年が経過する。特対事業としてこれに取り組んでいる自治体も少なからずあり、また、その内容だけを日常業務に採り入れようとしている自治体や保健所もある。しかし、全体として日本版DOTSの拡大はまだまだこれからというのが現状である。

日本版DOTSを理解するための5つのポイント
 DOTSへの取り組みに消極的であったり踏み切れない原因として、DOTSの考え方が関係者に十分に理解されていない傾向があることが挙げられる。
 そこで、日本版DOTSについて次のように考えごらんになることをおすすめする。

@直接服薬確認だけがDOTSではない
「うちにはホームレスはいないから」このようにおっしゃる方は「DOTSイコール直接服薬確認治療」ととらえていないだろうか。国際的にもそのような誤解や、逆に厳密にそのような考えを求める見解もある。しかし日本版DOTSでは、あくまでも患者の治療支援のプログラム全体をDOTSとしており、直接服薬確認をしないDOTSもあるし、直接服薬確認をしたからといってDOTSとはいえない対策もあると考えている。

ADOTSは決して難しくない
  日本では、、ホームレスのような極端に困難な環境の患者への支援がDOTSとして始められたため、「DOTSは大変なもの」と考えられがちである。世界DOTS拡大の初期にも同様の不安反応が起こったものである。しかし、そんなことはない。
 DOTSは患者支援のために、個々の患者、地域に合った方法を柔軟に編み出して行うもので、それこそが現場の腕の見せどころである。

BDOTSは治療評価から
 「私たちは患者支援をやっているから…」
  それだけでは、残念ながらDOTSではない。世界的なDOTS運動の目標は「患者の85%に治療成功を」とされているが、みなさんのところでは患者の治療成功率はおわかりだろうか。それがほかの地域と比べて優れていることが常時知られていれば、それがDOTSである。
 患者支援の評価が個々の患者について行われ、それを基礎に問題解決が図られる、これがDOTSのポイントである。

CDOTSは結核対策の大黒柱
 今後の結核対策の原則の一つは「1人の患者が発生したら、その人を確実に治す、その人の周囲の人を確実に守る」である。患者支援と接触者対応が結核対策の大黒柱とされる所以である。「DOTSがなければ結核対策ではない」といえるかもしれない。

DDOTSは結核治療への公的責任の証
 日本版DOTSは、これまでの一般の患者支援よりもはるかに具体的に、保健所が医療機関との連携を強め、介入していこうというプログラムである。
 そこには「結核患者の治療完遂を見届けるのは行政・保健所の責任」という結核対策の大原則の明確な確認がある。あの自由診療の米国ですら、最近の政府の声明でこのようなことをはっきりと打ち出しているのである。


世界のDOTS戦略から
21世紀型日本版DOTS戦略へ

WHOの戦略とJICAプロジェクトの対策から考える
       

DOTSは世界の結核対策の中心として、着実に成果を上げつつある。日本でも、平成15年2月の厚生労働省結核感染症課通知において「21世紀型日本版DOTS戦略」として、わが国の状況に合致した方法で推進する方針が示された。 ここでは、世界保健機構(WHO)の10年間にわたるDOTS戦略への取り組みと、筆者がJICA結核対策プロジェクトで派遣されていた フィリピンにおける対策から、日本版DOTSを推進するうえで参考になることをご紹介する。


WHOのDOTS戦略への取り組みから得られること
WHOがDOTS戦略を結核対策の中心に据えてから、10年が経過しようとしている。今やDOTSは世界の150以上の国々で採用されていて、治療成功率の改善、早くからDOTSに取り組んだペルーでの罹患率の減少など、着実な成果を上げつつある。
 DOTS戦略の開発にあたって、WHOは1980年代まで行われた結核対策を振り返り、1991年から5年間の計画についての報告書を作成した。この報告書には、疫学的状況の分析に引き続き、それまでの対策が成果を上げられなかった原因について次のようなことが書かれている。

「それまでの対策が『何がなされるべきか』に重きを置かれ、保健基盤の脆弱な実際の現場での『如何に実践するか』が軽視されている。技術的戦略の幾つかがドグマとなり、結果重視の姿勢や地域特性にあった革新的アプローチが軽視される傾向がある。」

 現在、日本の保健基盤は脆弱ではないにしても、予算・人員といった社会の資源の点において潤沢とはいえないことから、「如何に実践するか」は極めて重要である。また、地域的な違いも存在するなかで、われわれ関係者には「地域特性にあった革新的アプローチ」にも積極的に挑戦していくことが望まれる。さらに、現在コホート入力状況を鑑みると、「結果重視の姿勢」が最も強く求められている。
 この10年間、WHOはDOTS戦略拡大の体制づくりのために様々な努力を行ってきた。具体的には、世界結核薬基金、事務局、戦略技術諮問グループの下に、6つの作業グループを持つストップTBパートナーシップを構築し、より多くの組織や機関に参加を促した。2000年には、アムステルダムにおいて閣僚会議を開催して、当該国政府に対してDOTS拡大へのより強いかかわりを求めた。
 また、毎年開催されるDOTS拡大ワークキンググループ会議では、世界の結核専門家、結核高蔓延国からの担当者、ドナーらを集めて、対策実施状況の評価・勧告を行っている。このような高蔓延国への支援は、WHOの地域事務局レベルでも行われている。
 わが国でも今後、日本版DOTS拡大のために、必要に応じて国レベルや地域レベルでの体制づくりや、実施に必要な技術的な支援が必要と考えられる。

                                                
       フィリピンにおけるプロジェクト活動から得られること
  筆者が2000年8月から約3年間、JICA結核対策プロジェクトのチーフアドバイザーとして派遣されたフィリピンでは、1996年に新国家結核対策の枠組みのなかでDOTSが導入された。それ以来2001年までの5年間で、ほぼ全国の保健所にDOTSが行き渡り、治療成功率も85%を超えている。2002年にモントリオールで開催されたWHOのDOTS戦略拡大会議では、フィリピンは対策が最も進展した国として高く評価された。拡大に成功した要因のなかから、私たちが日本版DOTSを進めるうえで参考になると思われることを挙げてみよう。
 まず、中央および地方政府の対策への姿勢である。フィリピンでは結核は死亡原因の第6位となっていることから、保健省は結核対策を6つの優先政策の一つに挙げており、予算や人員を優先的に配分するよう努力している。
一方、1992年に地方分権法が施行されたため、現場での対策の実施主体である地方政府(日本でいえば、都道府県や市町村)のかかわりが極めて重要である。このために保健省は、優先対策である結核対策と母子保健の推進のため都道府県と市町村の保健部長を集めた調整会議を開催した。地方政府の関与はプロジェクトの自立発展性を保証する意味からも極めて重要であるので、私たち専門家も機会を見つけて、あるいは必要に応じて知事や市町村長に面会して対策への積極的な支援を求めている。しかし、財政基盤や政治状況は地方によって大きく異なっていることから、対策に示す姿勢も必ずしも一様ではない。皮肉なことに財政力が比較的強いところほど一般医療に力点がおかれているために、結核対策をはじめとする公衆衛生活動がうまくいかない場合がある。
 現場レベルでは、「バランガイ・ヘルスワーカー」と呼ばれるボランティアを地域での服薬支援者として活用できたことは重要である。日本で保健活動に関するボランティアといえば、母子保健推進員や食生活改善推進員を思い浮かべるが、バランガイ・ヘルスワーカーはバランガイという最小行政単位で活動しており、多くの場合若干の謝礼をもらっている有償ボランティアである。フィリピンにおける結核治療は、排菌の有無にかかわらず外来が原則ですべての塗抹陽性患者に対して全治療期間の週末を除く毎日、直接服薬確認をすることになっている。塗抹陽性罹患率は日本の約10倍と高率なため、DOTSを実施する保健所は莫大な労力を必要とする。バランガイ・ヘルスワーカーのほかに、過去にDOTSで治癒した患者やバランガイの職員も治療支援者になることがあるし、もちろん、保健所で保健師らが服薬支援を行うこともある。
 日本では結核対策にボランティアを広く活用するのは、プライバシーなどの問題から難しいと思われるが、地域の必要に応じて地域資源を可能なかぎり広く有効に活用していく必要があると考える。
 結核研究所は森所長を本部長、対策支援部を事務局として日本版DOTS拡大の推進本部を設立し、DOTSへの取り組みを積極的に支援していく所存である。関係者の皆様のご協力をお願いするとともに、対策支援部へのご相談・ご利用を心よりお待ちいたしております。                                    

(対策支援部長 加藤誠也) 




「医師臨床研修コース」について
結核の診断・治療技術の向上をめざして

結核研究所では、結核診療に携わる臨床医の技術向上を目的とし、平成15年度より医師臨床研修コースを開設した。本研修コースは、結核や呼吸器疾患の臨床に携わる臨床医を対象に、結核の診断治療および結核対策の最新の知識を修得して、今後の結核の診療や予防対策の場において貢献していただくことを目的としている。本年度は計27名の臨床医の参加を得て、10月16日〜18日の日程で行った。平成16年度の研修は11月25日〜27日の3日間を予定している。


日本版DOTSの普及に、結核の適切な診断と治療の提供は不可欠
 結核は、診断方法と治療方法がほぼ標準化されており、その普及が結核対策成功の鍵である。そして、世界中の先人が結核撲滅に挑戦してきたことの結実であるDOTS戦略は、結核対策を成功に導く手段として、数多くの確証をもって認められている。わが国でも日本版DOTS戦略を普及するにあたり、医療機関において適切な結核の診断と治療のサービスが提供されることは必須の条件である。

研修内容は結核対策、診断・治療、症例検討など
 結核の診断・治療技術の向上確保を目的として、結核研究所が開設した医師臨床研修コースは、第1回の本年度は、定員20名に対して、北は北海道から南は熊本県まで、全国から臨床医25名(うち大学病院より2名)、公衆衛生医1名、結核予防会支部1名の計27名の参加を得た。
 研修の内容および時間割を表に示す。内容は大まかに、「結核対策における医療機関の役割」「結核の診断と治療」「症例検討会」に分かれる。
 「結核対策における医療機関の役割」では、これまでの日本の結核対策の歩みと近年の結核対策の包括的な見直し、そして結核予防法改正の動向や新しい結核対策における医療機関の役割が示され、結核診療の一翼を担う臨床医の任務の重要性が強調された。
 「結核の診断」では、画像診断による結核診断や治療経過の評価方法を、菌検査では、従来の検査から新しい核酸増幅法まで各検査方法の特徴と注意点を示し、まとめとして結核臨床における菌検査方法の役割について、講義により、抗酸菌検査の重要性を伝えた。また、最近の結核研究トピックスとして、免疫学的な手法による結核感染の新しい診断方法についても触れた。
 「結核の治療」では、全国的な普及が進められている肺結核の標準的な科学療法(PZAを含む4剤治療の普及とHR2剤のみによる治療の中止)が主なトピックであったが、肺外結核の治療、多剤耐性結核などの外科治療などの講義も行い、関連疾患として、「非結核性抗酸菌症の臨床」とHIVと結核を取り上げた。DOTSによる服薬支援の分野については、複十字病院の院内DOTSの取り組みと地域DOTSの取り組み方法に関する講義を行い、日本におけるDOTS拡大の方法について検討した。
 「症例検討会」では、複十字病院の症例を中心として、診断困難例、肺癌合併例や維持期に間欠DOTSを用いた症例などを検討した。
 研修終了日に研修評価を目的としたアンケートを実施したが、おおむね高い評価をいただいた。

〇平成15年度医学科「医師臨床コース」日程表〇

午  前 午  後
10月 9:00〜10:30 10:40〜12:00 13:00〜15:00 15:10〜17:00 17:30〜19:00
16日
(木)
結核の治療
結核の治療
 2
ツ反とBCG 結核の画像
診断
症例検討会
17日
(金)
結核の治療
結核対策における医療機関の役割 DOTS戦略 結核とHIV 症例検討会
18日
(土)
非結核性抗酸菌症の臨床 結核の
外科治療
結核臨床における菌検査の意義


平成16年度の研修に奮ってご参加を
 平成16年度の研修は、11月25日〜27日の3日間を予定している。詳細や問い合わせ先は、結核研究所ホームページや都道府県衛生部に配布した結核研究所研修案内に掲載してるので、ご参照いただきたい。
 結核診療や呼吸器臨床に携わる臨床医の方々の奮ってのご参加を、心よりお待ちしています。                         

(対策支援部企画・医学科長  星野 斎之)




ホームページに寄せられたメールから
一般から専門家まで、相談内容も様々

結核研究所では、ホームページを通じて、一般の方や保健医療に従事している方からの質問や相談などに対応している。当ホームページには幅広い層から様々な内容の問い合わせのメールが寄せられている。開設から現在までに寄せられた質問・相談の内容をまとめたので、紹介する。


メール件数は年々増加
 結核研究所では1996年9月にホームページを開設し、広く国の内外に結核の情報を提供してきた。インターネットの普及により、当研究所のホームページを閲覧される方に増加に伴い、代表メールを通じての相談件数も増加してきた。対策支援部は2000年に発足して以来、このメールの対応の窓口を担当している。ここに2003年12月までの問い合わせについてまとめたものを報告する。
 当研究所ホームページに寄せられたメール件数は、ホームページ開設年の1996年度はわずか6件、97、98年度はそれぞれ85件と97件であったが、1999年7月に「結核緊急事態宣言」が発令されてからは人々の関心が多く集まったために、質問・相談が急増し、1999年度は347件となった。2000年度から2002年度までの件数は、それぞれ396件、505件、416件であった。開設から2003年12月までの合計は2,149件である。(図1)

幅広い層から、内容も多彩
 寄せられたメールを送信者別に見ると、一般の方からの問い合わせが圧倒的に多く(全体の37%)、続いて臨床医(20%)、保健所(17%)となっている。海外の医療関係者からも毎年数十件のメールが寄せられているので、世界中の方に当研究所のホームページを見ていただいていることになる。また、医療関係者だけではなく、学生や大学職員などからも毎年20件ほど届いており、幅広い層の関心が結核に集まっていることがうかがえる。(図2)
 質問・相談の内容について見ると、一般からの多くは「このような症状が続いているのだけれど、結核なのだろうか」とか「近くの人が結核になったのだが、私も感染してるのだろうか」という、結核の症状や感染についての不安に関する内容である。また「子供がツ反をして陽性だったけれど、大丈夫だろうか」など、健康診断を受診した方からのツ反やBCGに関するものも多数寄せられている。臨床医や保健所からはツ反の二段階法や患者の治療方法や接触者健診など、個々の事例に関する相談が主であった。消防署より「結核患者を搬送したけれど、消毒はどうすればいいか」という、感染予防に関する相談も毎年数件ある。また、インターネットの利用が普及するにつれて、当研究所のホームページリンク依頼も多く届いている。
 以上、1996年9月から2003年12月までの約7年間に当研究所ホームページに寄せられた質問・相談をまとめたが、現在も1ヶ月に平均30件の問い合わせが寄せられ、メール以外にもFAXや電話によるものも多い。
 対策支援部は今後も多くの方々から寄せられる質問・相談に親身に対応するとともに、結核に関する正しい知識を普及するために、ホームページを通じての情報発信に努めていきたいと思っている。                            

(対策支援部企画・医学科  中西 志乃)




第62回日本公衆衛生学会総会自由集会
QFTの新しい技術が日本の結核対策を変えるか?
2003年10月22日、京都・関西文理学院

今回の目的は、結核感染の新しい診断方法(Quanti FERON-TB)を理解し、保健所での定期外健診の対応や集団感染対策上での質の向上を目指したものである。講演は結核研究所森亨所長より「結核感染事例における結核感染の新しい診断方法」として、クウォンティフェロン(以下QFT)についての原理、ツベルクリン反応とQFTとの関連などについて詳しい説明があった。その後、3つの事例報告が行われたので、その内容を紹介する。


事例報告1
中学強陽性者・高齢者におけるQFTの経験

報告者:結核予防会千葉県支部
      鈴木公典氏 
中学生と高齢者を対象としたQFT-TB第一世代と第二世代の比較報告について、結核健診にて精検となり同意を得た中学1年生25例にQFT-TB第二世代を実施、また平成10年度にQFT-TB第一世代を実施した62例との比較で第一世代はBCG接種との鑑別は困難であったが、第二世代ではBCG接種の影響を受けずに感染の有無を診断でき、接触者における化学予防の適応の決定に有用であった。
 一方、高齢者施設での同意の得られた68例に第二世代を実施評価した結果、70歳以上の高齢者では高齢になるにつれ感染率が低下した。これについては高齢者の免疫が弱くなるなど細胞レベルでの反応などが考えられるとのことであった。

事例報告2
ベトナム人従業員より
患者の集団発生へのQFTの応用

報告者:三重県鈴鹿保健所
     長坂祐二氏
 初発患者はベトナム出身28歳女性で、ツ反とあわせて行ったQFTの接触者健診結果から予防内服者を決定する背景として、ベトナム国の結核罹患率の状況、患者との接触度合いなどを勘案し、予防内服者を絞った興味ある報告であった。そして、長坂氏からは、ツ反のみで感染を判断するには限界がある。新しい対策には新しい技術の手法をつけ加えてほしいとの要望も出された。

事例報告3
夜間・休日の社会活動の場で感染拡大した集団感染事例

報告者:中央区保健所
     成田友代氏
 週2回の集会に100名が参加、同一室内で歌や講義を内容とする密接な接触状況から起こった集団感染事例で、発見患者10名、予防内服者27名となったものである。これは、前の報告2件のQFTを利用したものとは違い、従来の結核対策の手法を用い、きめ細やかな対応をしたもので、集団感染対策においても医療機関との緊密な連携が大切であること、計画どおり丁寧に健診を進めていくことが極めて大切であるとの報告であった。
 最後に、結核予防会の山下武子事業部長より「日本の結核対策の歴史は変わろうとしている。本当に必要なものであれば、わが国はお金に糸目をつけない。現場でツベルクリンの技術などでの苦労を考えたなら、一番安上がりである」とまとめの発言があり、自由集会は終了した。
 今回のメインテーマとなったQFTの新しい技術が、日本の結核対策に大きく威力を発揮するのではないかと確信する集会となった。そして、来年の島根県での再会を誓い合った。                             

(対策支援部放射線学科長 中野静男)



第62回日本公衆衛生学会総会ブースに展示して
学生、保健・教育関係からの反響が

結核の正しい知識や最新情報などを多くの方に知っていただく機会の一つが、この公衆衛生学会総会における紹介ブースである。結核研究所には、結核を過去の病気ではなく再興感染症として、対策を緩めることなく注意喚起していく役割がある。ブース展示をより効果的に演出するものといえば写真、どんなに複雑で難しい検査の原理でも、写真で示せばわかりやすくなる。


画像で最新情報を示しパンフレットなどを配布
「結核最前線をゆく〜結核研究所の取り組み〜」「いま学ぶ結核の病理」「結核菌を探せ」「人が人を治す」「第8回国際結核セミナー」「全国結核対策推進会議」。多くの方にパソコンに現れるこの6種類の画像に目を留めていただけたことと思う。また、各部署の紹介写真を展示し、テーブルには複十字誌(結核予防会:奇数月発行)、結核予防会発行の書籍見本、複十字シールやパンフレットなどを並べ、立ち止まって眺めていく方々に配布させていただいた。
「QFTとは何か」「どういうことがわかるのか」「今、何が問題なのか」や「どうして再発するの?」など、本当に多くの質問をいただいた。学生の方だけでなく保健所の第一線でご活躍の多くの方々もブースに立ち寄ってくださり、出会いや再会の場となることもたびたびあった。また、「結核研究所のブースはきれいでわかりやすく、来年も楽しみです」との感想をいただき、大変はげみとなっている。

結核の授業の現状など教育現場の声を聞く機会も
「結核の授業は取れても1単位くらい、市町村に就職すると結核から離れてしまうことが多く、その半面いざ事が起こると知識がないばかりに大騒ぎしてしまう現状なので、結核の正しい知識を知る機会があればいいと思う」と看護大学の教員の方からご意見をいただいた。ブース展示会場が示説展示と同一会場で並んでいたこともあったためか、このように教育現場の方々ともお話しすることができた。
 結核研究所では、来年も公衆衛生学会総会におけるブース展示を予定している。多くの方が目を留めてくださるような、結核の最新情報をお知らせできるよう努力していく予定である。
                       

(対策支援部保健看護学科長代理 永田容子)

           

                    



Information

●平成16年度研修日程(於:結核研究所)

〇医師           医師8日間研修(定員30名)      6月16日〜25日
               胸部X線読影研修(定員30名)    11月 9日〜12日
               医師臨床コース(定員20名)     11月25日〜27日

〇放射線         夏期研修(定員60名)          8月25日〜27日
               8日間コース(定員30名)        11月9日〜18日
               結核対策と医療監視(定員50名)  12月14日〜17日

〇保健師・看護師    対策8日間コース(定員60名)     6月2日〜11日,6月30日〜7月9日
               夏期研修(定員150名)         7月28日〜30日
               基礎4日間コース(定員60名)      9月14日〜17日,10月12日〜15日,
                                      11月30日〜12月3日

〇臨床検査技師    菌検査実習コース応用(定員16名)  9月3日〜7日
               菌検査実習コース基礎(定員24名)  9月6日〜10日

〇結核行政担当者   結核行政担当者研修(定員100名) 10月5日〜8日
                                               *詳細は研修案内へ

◎平成16年度結核予防技術者地区別講習会

北海道:6月8日,9日 / 三重県:7月1日,2日
鳥取県:7月7日,8日 / 大分県:7月15日,16日
福島県:7月22日,23日/ 埼玉県:8月5日,6日
和歌山県:8月26日,27日               


Updated 04/04/15