CONTENTS 1 新しい結核対策を活かす現場への期待 2 BCG直接接種の実施 4 第一回結核地域分子疫学研究会開催 5 結核感染診断技術研究会について 6 第63回日本公衆衛生学会総会自由集会 7 研修・講習会のご案内 8 結核研究所活動報告 |
財団法人結核予防会 結核研究所 所長 森 亨
結核予防法の大幅な改定が行われ,2005年4月からの移行に向けて助走が始まっている。何事にも言えることであろうが,新たな仕組みが効果を発揮できるためには,その実施段階の努力が重大な意味を持つ。予防接種と健康診断に関して,運用に当たって現場で「魂」を入れてもらいたい点を幾つか挙げてみた。
1.BCG接種
直接接種法という手続きの簡便化と同時に接種期間〔生後3〜6(12)カ月〕が短くなった。市町村は6カ月以内の接種の確保に努力をしつつ,しかも6カ月を過ぎてしまった子への対応を行政サービスとしてすべきである。これについては「やむを得ない」ケースに当たるとして国が山形県への回答で示した条件を自信を持って読みとり,適用すべきである。(公費負担にせよ)安直に「任意接種」にしたりすることは避けるべきである。生後6カ月以内の接種率確保のためには,近隣市町村との相互乗り入れ、乳児健診時の接種等の工夫があろう。接種技術の確保も重要で,これには1歳半健診時の瘢痕調査をぜひともルーチン化していただきたい。直接接種に伴う予診時の「感染リスク児」の扱い,接種後のコッホ現象への対応についても市町村は保健所と連携して,この制度が安心して運用できるようにすべきである。
2.住民健診
新制度は「あまりにも市町村におまかせ」という批判と危惧の声が聞かれる。年齢によるリスク階層の規定の仕方が発見率(0.02〜0.04%)を参考に判断せよ,と言うが,発見率が0.02%であることを誤差率30%くらいの精度で言えるのは受診者が21万人くらいなければならない。これは従来の住民健診からの推測では人口200万以上の都市の場合にあたる。一般の市町村で使える指標ではない。何年分かを積み上げた罹患率の方が実用的であろうが,これにしても市町村に対して県などからの技術的な助言が必要であろう。それよりも気になるのが,ハイリスク階層への健診の実施である。従来多少なりとも行われていた小規模事業所従業員の事業者による健診は全廃され,「必要に応じて市町村が行う」こととされた。ホームレス,外国人労働者,建設現場なども法令上は市町村の事業の対象となった。健康管理の機会に恵まれないこれらの人々については市町村によほどの熱意がなければ何もされないこととなってしまうだろう。
3.定期外健診
「結核にかかっていると疑うに足る正当な理由のある者」に対する健康診断として規定された定期外健診は保健所の責任であるが,これには強制力がつく。そのことで対象の選定に「遠慮」が入るようなことがあれば,本末転倒である。また保健所以外の医療機関で健診を受けて定期外健診の目的が果たされた場合に,それで健診済みと扱う「みなし」が許されないと言うことから,不必要な健診が行われたりするのもおかしい。必要な健診対象範囲は従来のガイドラインなどによってきちんと規定し,健診を行い,「みなし健診」を受けた人については,結果は把握しつつ,問診だけで健診終了と扱うなど柔軟に対応することもできよう。問題はむしろ他府県・多保健所連携での確実な健診実施であろう。
改正予防法施行まで1カ月と迫っている。対策現場で大きく変わるBCG直接接種の対応のポイントは,@予診で感染を受けた可能性のある対象者をチェックすること,Aコッホ現象に対する対応である。下記に,それぞれの具体的な対応を示す。 |
治療歴及び患者との接触歴
(1)予診票によるチェック
BCGは感染を受けたことがない人に接種することにより,感染を受けた際の発病を予防する働きがあるが,感染自体を防ぐことはできない。したがって,既に感染を受けた人には無駄であるし,次に記すようにコッホ反応という不快な反応を起こすことになる。これまでツ反応を行うことによって感染を受けた可能性がある子供を除外していたが,今後は予診等によってチェックする必要がある。もちろん、これまでに結核の治療歴(予防内服を含む)がある児に接種はできない(予防接種不適当)。この際、服薬中の人には規則的な治療を継続する必要があることを説明し,「きちんと服薬しなかった」人には主治医に相談するように勧める。
これまでの予診票にあった「1カ月以内に家族や遊び仲間に結核にかかった方がいましたか。」に代わって,新しい予診票には「生まれてから今までに家族など身の回りに結核にかかった方がいましたか」という質問項目が加わる。ここで「はい」と記入されていた場合には,その患者によって感染を受けていた可能性について確かめる。
(2)追加の質問
上記で「はい」とされた患者から感染を受けた可能性を確かめる。対象者が生まれる前に,祖父母などが以前に結核にかかったことがあるといった場合は問題にならない。接触した人が明らかに結核を発病している人であった場合には「その時に保健所等で接触者健診(家族健診)を受けましたか」,「ツベルクリン反応検査を受けましたか」,「その結果,どのような指示を受けましたか」などの質問をして,その患者から感染を受けた可能性について確かめる。
ツ反応等の結果,当該保健所から「感染を受けていた可能性がない」と説明を受け,BCG接種を受けていなかった場合〔注:定期外健診などの結果によって,法14条(定期外予防接種)によりBCG接種を受けることがある。〕には接種のための診察に回す。
(3)医療機関受診
上記の質問で,「接触者健診を受けなかった」「受けたが結果がよくわからない」など、感染を受けた可能性が明らかでない場合で,患者が登録されていれば,当該保健所に紹介すると確実な情報が得られる。保健所も不明といった場合には適切な医療機関に紹介する。紹介を受けた医療機関では必要に応じてツ反応や胸部X線撮影などの検査を行う。なお,この検査費用は医療機関では健康保険で賄われる。この結果感染を受けている心配がないとされた場合には次のBCG接種機会を利用する。
コッホ現象への対応
BCG接種後の正常な経過は10日以上経ってから針痕に一致して発赤が現れる。一方,既感染者にBCG接種を行うと接種部位1,2日遅くとも10日以内に発赤・腫脹が出現するが,その後の経過も早く,通常,2週間から1カ月以内には治癒する。
(1) 接種時の指導
接種を受けた児の保護者一人ひとりに「接種部位を毎日観察して,10日以内に赤く腫れた時には接種医療機関に連絡をしてください」と指導する。集団接種では、市町村での対応が必要となるなど,地域の状況に応じた対応方法を決めておくことが重要である。この際、接種後の通常の変化とコッホ現象の変化についての写真やパンフレットなどを用意して説明すると効果的である。
(2) コッホ現象の局所への対応
コッホ現象は遅延型アレルギー反応によって起こるものであり、局所BCG菌が増殖して起こる反応ではないので、通常は清潔に保っておくのみで特別な措置を必要としない。ただし,反応が起こって潰瘍が治まるまで4週間以上もかかるような場合には,混合感染の可能性もあるので抗生剤を使用する。
(3) 感染可能性の検査
上述のように局所反応は通常大きな問題にはならないが,反応を示した子は感染を受けていた可能性があることの方が問題である。念のためもう一度「結核の治療や予防内服を受けたことはありませんね」、「身の回りに結核にかかった人はいませんね」と確認し,直ちに適切な医療機関を紹介する。これも地域の状況に応じて事前に決めておくことが重要である。保健所で迅速かつ的確に検査を行えるのであれば,もちろん,差し支えない。
(4) 医療機関における検査
医療機関では早期に確認のためのツ反応を行う必要がある。大部分の人はBCG接種後1カ月でツ反応が陽転化するので,ツ反応は接種後2週間以内に行うことが肝要である。その時点でツ反応陽性であれば,更に精密検査を行い,発病していなければ化学予防となる。ツ反応陰性でも塗抹陽性患者との接触歴があれば予防内服,なければ経過観察とする。
(5) 報告
日本ではコッホ現象の経験はまだ少ないので,経験を集積する必要がある。このため,コッホ現象を診断した医師は報告書(様式第六)を市町村に提出し,市町村は保健所を経由して都道府県に報告することになった。なお,1カ月以内に治癒するコッホ現象は、副反応とは考えないので副反応報告は不要である。
以上、ポイントを概説したが、結核予防会では『BCG直接接種の手引き書』を刊行する予定であるので、ご利用ください。
(研究部長兼対策支援部長 加藤誠也)
第一回結核地域分子疫学研究会開催
結核の地域分子疫学分野における更なる進展を目指して
近年結核対策における結核菌のDNA指紋法(DNA Fingerprinting Technique of M. tuberculosis)の重要性は,ますます高まっている。日本の結核対策の中で,この技術がさらに有効に活用されるためには,関係者間における情報の共有と協力体制とが必要である。そのため,本法に関わる主な研究機関および検査機関の担当者が集まって,本法を用いた結核の地域分子疫学分野における意見交換を行った。 |
結核地域分子疫学研究会の開催目的
近年結核菌のDNA指紋法を用いた分子疫学的分析は,国内でも多くの施設で実施されるようになり,接触者健診における結核菌伝播の特定などに大きな力となっている。さらに同法を個々の事例に適用することだけではなく,ある地域における結核対策改善のために,その人口集団における感染実態の解析を目指した事業として実施する施設も増えてきている。そのような中,今後この技術を地域の結核対策に更に有益なものとするためには,本法を実施している各検査機関の技術向上とともに,地域における結核菌のDNA指紋型の情報を含めた関係者間の情報の共有がますます重要となってくる。そのため本研究会は第一回目として,本法を実施している各検査機関関係者の経験を共有し,問題点についての話し合いを行い,今後の日本における結核の地域分子疫学分野のさらなる発展を目指すことを目的として,地方衛生研究所協議会の協力の下に開催された。
第一回結核地域分子疫学研究会の開催概要
2004年7月23日に,結核研究所(清瀬市)にて開催された。参加者は全国の地方衛生研究所,医療機関,結核研究所を中心に30施設,47人であった。第1部の基調講演では,まず森亨所長が,「結核菌分子疫学の結核対策への応用」の題で講演を行い,結核菌分子疫学がどのように結核対策へ応用されてきたのか,今後どのような分野で応用されていくことが期待されているのかについて説明した。続いて「抗酸菌分子疫学の技術革新」の題で,高橋光良結核研究所抗酸菌レファレンスセンター結核菌情報科長が講演を行い,結核菌DNA指紋法として標準化されているIS6110-RFLP法に加えて,近年開発されたPCRをベースとしたSpoligotyping(スポリゴタイピング),Major Polymorphic Tandem Repeats (MPTR)法,Polymorphic G+C Rich Sequence(PGRS)法,Mixed-linker PCR法,Variable Number of Tandem Repeat (VNTR)法,その他の方法について,長所,欠点を標準法と比較しつつ説明した。
第2部は一般演題のセッションで,各施設における分子疫学的解析結果や新しい検査技術であるスポリゴタイピング,VNTRなどに関する発表14題に対して活発な討論が行われた。
第3部では,総合討議として,今後の日本における地域分子疫学ネットワーク構築の可能性,それを構築するために解決すべき問題点,本研究会の運営方法等について話し合われた。検査実施機関の情報の共有が,高い信頼性を保ちつつより容易にできる体制作りが必要であることは,参加者全員一致した。「数ある結核菌DNA指紋法のうち,どの方法をどのように使用することを日本における標準法とすべきか」との問いかけに関しては,MIRU-VNTR法とIS6110-RFLP法とを組み合わせて用いる方向で大方の参加者の賛同を得たが,より具体的な方法については今後より詳しく検討することとなった。今後の運営方法に関しては,対策支援部が事務局となって運営することとし,早急に研究会の規約草案を作成すると共に役員及び運営委員会を発足させることとなった。
今後,本研究会が定期的に開催されて,日本における地域分子疫学ネットワークが関係諸機関の参加の下に構築され,この分野の研究活動に大いに寄与し,日本の結核対策活動の更なる改善を促進するものとなることが期待される。
(研究部 大角 晃弘)
近年,結核菌群特異抗原が発見された結果,これらを用いたBCG接種の影響を受けない結核感染診断法の開発が可能になってきた。しかし,このような診断法の有用性を比較検討し,より良いものを選択し普及していくためには,組織的な共同研究が必要となる。今回,この共同研究の母体となる結核感染診断技術研究会が発足したので,その診断法の概略と研究会の内容を紹介する |
新規結核感染診断法
従来,結核感染の診断法としては,唯一ツ反応がほぼ1世紀にわたり全世界で広範に使用されてきた。しかし,ツ反応の診断感度は優れてはいるものの,特異性の点で重大な欠点を持っている。その理由は,ツ反応で用いるPPDは結核菌の加熱滅菌した培養液からタンパクを沈殿させて調製したもので,数百種類もの結核菌抗原が混在し,そのほとんどのものがBCGあるいは非結核性抗酸菌の抗原と高い類似性を持つためである。このため,BCG接種あるいは非結核性抗酸菌感染によっても,ツ反応が陽性になる場合がある。この欠点のため,BCG接種が広範に行われている日本では,ツ反応により正確な結核感染診断を行うことは極めて困難であったが,この欠点を克服できる新規結核感染診断法が,近年結核菌遺伝子解析の進歩に伴い開発された。
記憶T細胞からInterferon-γ(IFN-γ)産生を強く誘導するESAT-6と CFP-10と呼ばれる結核菌抗原が,すべてのBCG亜株とM avium,M. inttracellulareを含む大部分の非結核性抗酸菌には存在せず,結核菌群であるM. tuberculosis,M. bovis(BCGを除く)およびM. africanumとごく一部の非結核性抗酸菌にのみ存在することが明らかになった。これらの発見を基に,BCGには存在しないこれらの抗原を刺激抗原としてリンパ球を刺激し,誘導産生されたIFN-γ量を測定することにより,BCG接種の影響を受けることなく結核感染診断をする方法QuantiFERON
TB第二世代(QFT-2G)が開発された。日本において結核研究所が主体となり行ったQFT-2Gの治験の結果,QFT-2G
はBCG接種の影響を完全に除外しており,その感度および特異度は,それぞれ89.0%と98.1%という極めて優れた数値であった。
結核感染診断技術研究会発足
QFT-2Gは日本のようにBCG既接種者の多い集団(さらには環境中抗酸菌感染の多い集団)での結核感染の正確な診断に,特にQFT-2Gは潜在性結核感染をも検出できるため接触者健診において,今後非常に有用な方法になると思われる。しかしながら,感染源への曝露の時期から反応が陽性になるまでの時間経過や長期間における応答の消長,あるいは化学予防や化学療法の影響など,さまざまな状況における診断特性についてはまだ知見が十分ではない。また小児,特に幼児の場合の特性についても同様であり,さらに現行の最低採血必要量(5ml)からくる制約の克服も課題である。これらQFT-2Gに関する今後の課題については,早急に検討すべきものであり,またその正しい検査技術,適用方法は広く普及させる必要がある。さらにQFT-2G以外にも,今後このような結核菌特異抗原を用いた結核感染診断法が種々開発される可能性が考えられるため,これらの診断法の有用性を比較検討し,より良いものを選択し普及していくことは非常に大切なことである。しかし,これは個々の研究機関だけで行うのは困難であり,組織的な共同研究が必要である。その組織的共同研究の母体として,第一回結核感染診断技術研究会が森亨結核研究所所長を会長として,昨年8月27日結核予防会水道橋ビル会議室において行われた。本会は会長以下,副会長,顧問,幹事および事務局という総勢29名を数え,北海道から沖縄まで結核分野の第一線で御活躍されている先生方から構成されている。今後,この全国的規模の研究会を効率良く運営することにより,QFT-2Gの課題,あるいはこれ以外の結核感染診断法の検討が迅速に行えることが期待される。
(抗酸菌レファレンスセンター免疫検査科長 原田登之)
結核集団発生の対策を考える 2004年10月21日, 島根県松江市・島根県民会館 改正結核予防法において,保健所の定期外健診の強化が求められている。「集団感染の今後の課題」をテーマに結核研究所の森亨所長の講演に引き続き3事例が報告され,107名の参加者を得た。参加者からは,「今回の報告があった事例はどこでも起こりうる事例であり,対応に苦慮した場合の進め方が参考になった」との意見が寄せられた。 |
講演において,接触者健診の課題について,不特定多数の集団での接触者の把握は,慎重に十分に行っていかなければならないこと,しかし調査する権限は改正結核予防法に示されておらず課題であることなどが話された。その後,加藤律子氏(茨城県),藤原啓子氏(横浜市),染川さおり氏(奈良県)から報告があった。医療機関や教育機関,公共交通機関での定期外集団健診の進め方などについて,対応に苦慮しながらも,保健所としてやるべきことをきちんと行った丁寧な対応がうかがえた内容であった。
参加者から出された質疑について,次の3点にまとめてみた。
@QFT(QuantiFERON;全血IFN-γ応答測定法)の感染診断に関して
ツ反応検査の実施年齢とのかねあい,対象範囲・年齢,検査の時期,経過観察のスケジュール,費用負担など多くの質問が出された。定期外健診に有効に発揮できる方法として現場に活用されるためには,QFTのガイドラインの整備が急がれる。
A接触者健診対象者の優先順位の決定の仕方と未受診者に対する方策について
大学における事例では,接触期間が明確である「冬休み以降登校し90分試験の同室者」を最優先として設定し,リスク判定が丁寧になされていた。接触者健診未受診者の方策については,「大学と話し合いを重ね,学校の危機管理対策として定期外健診を受けていないと単位を与えないような方策も考えている。しかし『絶対にうちの子には受けさせない』という大学生の親もいる」と追加報告があり,未受診者に対しての対応の困難さがうかがえ,また今後の課題となった。
B結核はSARS(サーズ)に匹敵する危機対応を
航空機等の公共交通機関からの乗客名簿の把握が困難であったとの報告から,「SARSは恐くて結核は恐くないのか。結核は感染症法に入っていないことで,危機対応してもらえない」などフロアーから意見が出された。日本の現状は,航空会社から,乗客がチケットを購入した旅行会社を教えてもらい,そこから連絡をとるという方法しかない。航空機による交通機関は国内にとどまらず,外国の航空会社との対応も関連してくることから,アメリカのようにルールにそって定期外健診が進められる対策が期待される。
最後に,対策支援部加藤部長が「接触者健診の原則は,同心円法でしっかりとした調査を行っていく必要がある。マスコミへのメッセージは結核に対する正しい理解を図る機会でもある。プレス対応でどういったメッセージを出すか,患者の人権を守りつつ,国民に正しい結核の理解を啓発していくことがますます求められている」と,まとめを行った。
島根県健康対策課持田さんには会場設営準備や懇親会場など世話人としてご協力いただき,無事終了することができた。来年度は,札幌での開催となる。
(対策支援部保健看護学科科長代理 永田容子)
指導者研修について (対策支援部企画・医学科長 星野斉之) |
地区別講習会 結核研究所では,所内で行う研修の他,全国を7行政ブロックに分け,その年度の開催担当県に出向いて地区別講習会(2日間)を実施している。平成17年4月から施行される改正結核予防法に焦点を当て,平成17年度の全体テーマを「改正結核予防法の施行上の課題と対策強化」とした。医師・診療放射線技師・保健看護職に分かれて,それぞれ新しい法律の下での役割等も考えていく予定である。 同時に,「結核対策特別促進事業の評価・報告」の場を設け,地域の結核問題や対策を協議している。平成16年度は,初めて医療機関の看護師から院内DOTSに関する発表があり,地域での患者支援体制を検討する絶好の機会となった。DOTS事業を進める上で参考になったとの意見も多く寄せられた。近年,開催県を中心とした結核専門病院や介護福祉機関等からの参加も増え,毎年1500人以上の結核予防従事者が集まっている。結核対策に必要な最新の知識と学問の進歩に即応した技術を取得し,地域の結核対策を考え推進する場として,平成17年度は,岩手県,新潟県,愛知県,兵庫県,徳島県,鹿児島県で開催予定である。多くの皆様の参加をお待ちしています。 (対策支援部副部長 小林典子) |
厚生労働省は,平成16年度より40歳以上の乳がん健診にマンモグラフィ(乳房エックス線検査)を併用することとした。しかし,確かな撮影技術を持つ診療放射線技師はまだ少なく,6つの関連学会で構成される「NPO法人マンモグラフィ健診精度管理中央委員会(精中委)」は,教育研修の実施と認定試験を行って健診マンモグラフィの撮影技師を認定している。 対策支援部放射線学科科長代理 星野 豊 |
Information
●平成17年度研修日程(於:結核研究所)
〇医師 | 医師8日間コース(定員30名) | 6月15日〜24日 |
胸部X線読影コース(定員30名) | 10月 18日〜21日 | |
医師臨床コース(定員20名) | 11月17日〜19日 | |
〇放射線 | 夏期コース(定員60名) | 8月22日〜24日 |
8日間コース(定員30名) | 10月18日〜27日 | |
結核対策と医療監視(定員50名) | 11月29日〜12月2日 | |
〇保健師・看護師 | 夏期コース(定員150名) | 7月27日〜29日 |
保健師8日間コース(定員60名) | 6月28日〜7月7日, 8月30日〜9月8日 |
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保健師・看護師4日間コース(定員60名) | 10月11日〜14日, 11月8日〜11日, 12月6日〜9日 |
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〇臨床検査技師 | 菌検査実習コース応用(定員16名) | 9月9日〜13日 |
菌検査実習コース基礎(定員24名) | 9月12日〜16日 | |
〇結核行政担当者 | 結核行政担当者等短期コース(定員100名) | 10月4日〜7日 |
*詳細は研修案内へ
◎平成17年度結核予防技術者地区別講習会
新潟県 | 6月2日,3日 | 徳島県 | 6月9日,10日 |
兵庫県 | 6月23日,24日 | 愛知県 | 7月14日,15日 |
岩手県 | 7月21日,22日 | 鹿児島県 | 8月4日,5日 |