結核に関するよくある質問と回答 2007   ※米国CDC資料の訳



1. 結核とは何か?
2. 結核がなぜ今問題なのか?
3. 結核の感染方法
4. 潜在結核感染とは何か?
5. 結核症とは何か?



1.結核とは何か?

結核症とは、結核菌という菌によって起こる病気です。この菌は通常肺を冒します。しかし、他の臓器(腎臓、脊椎、脳)を冒すことがあります。適切に治療しなければ、死に至ることもあります。結核は、米国でも死因の第1位であったことがあります。

結核は空気を介して人から人に感染します。結核菌は、活動性の肺または喉頭結核患者が咳やくしゃみをした時に、空気中に飛散します。周囲にいる者が、これらの結核菌を吸いこんで感染します。

しかし、感染した者が全て発病するわけではありません。感染したが発病していない者を、潜在性結核感染者といいます。潜在性結核感染者は、病識はなく、症状もなく、感染性もありません。しかし、潜在性結核感染者の一部が発病します。

結核症患者は、医療機関受診すれば、治療できます。より良い方法としては、潜在性結核感染者が治療を受けることにより、発病を予防できます。


2. 結核がなぜ今問題なのか?

1940年代に、今日用いている抗結核薬が、発見され始めました。結果として、米国では結核は徐々に低下しました。1970年代から1980年代初頭には、予防策を止め、結核対策は無視されました。その結果、1985年から1992年に、結核患者数は増加しました。しかし、結核問題への費用と注意を高めることにより、1992年から結核患者数は順調に減少しました。しかし、結核は未だに課題であり、2005年には14000人以上の結核患者が米国で発生しています。

このブックレットでは、結核に関してよくされる質問に答えます。潜在性結核感染や結核症に関する他の質問は、医師か看護師にお尋ね下さい。



3. 結核の感染方法

結核は空気を介して人から人に感染します。結核菌は、活動性の肺・喉頭結核患者が咳やくしゃみをした時に、空気中に飛散します。周囲にいる者が、これらの結核菌を吸いこんで感染します。

一度結核菌を吸い込むと、結核菌は肺に定着し増殖を始めます。そこから、血液の流れを介して他の臓器(例 腎臓、脊椎、脳)に移動します。

肺や喉頭の結核症は、感染性であることがあります。これは、結核菌を他者に感染できることを意味します。他の臓器(例 腎臓、脳)の結核症は、通常感染性はありません。

活動性結核症の患者は、毎日いっしょにいる人に感染させることが、最も多いです。患者の家族や友人や会社の同僚が、それに該当します。


4. 潜在結核感染とは何か?

結核菌を吸い込んで感染した人の多くは、免疫機能により結核菌の増殖を阻みます。結核菌は活動性を失いますが、体内で生き延びて後に活動性になることがあります。これを、潜在性結核感染と言います。潜在性結核感染者は、
 * 無症状である。
 * 病識がない。
 * 結核感染性はない。
 * 通常ツベルクリン反応検査かQFT検査で陽性を示す。
 * 潜在性結核感染の治療を行わないと、結核症を発症することがある。

潜在性結核感染者の多くは結核症を発症しません。これらの人々では、死ぬまで結核菌は活動性を失ったままであり、発病はしません。しかし、一部の人々(特に免疫機能が低下している者)では、菌が活動性になり結核症になります。



5. 結核症とは何か?

免疫系が結核菌の増殖を阻止できないと、菌が活動性を取り戻します。体内で結核菌が増殖を初め、結核症になります。菌の増殖と免疫反応により、臓器が破壊されます。肺で起きると、空洞を作ります。一部の者では、免疫が結核菌と戦う前(すなわち結核感染直後)に発病します。他の者では、免疫機能が低下したか他の理由により、発病することがあります。

乳幼児は免疫機能が弱いことが多いです。AIDSを発症させるHIV感染者では、免疫機能が低下しています。他にも免疫機能が低下している者があり、特に以下の条件を持つ者が該当します。
 * 薬物中毒
 * 糖尿病
 * 硅肺
 * 頭頸部の悪性腫瘍
 * 白血病とホジキン病
 * 重症の腎疾患
 * 低体重
 * ある種の治療(例 ステロイド治療や臓器移植)
 * 特別な治療(リューマチ症やクローン病)

結核症の症状は、結核菌が増殖している臓器に依ります。結核菌は通常肺で増殖します。肺結核は以下の症状をおこします。
 * 3週間以上続くひどい咳
 * 胸部痛
 * 血液や短の喀出(肺の奥からの痰の喀出)

活動性結核の他の症状としては、以下のものがあります。
 * 倦怠感
 * 体重減少
 * 食欲低下
 * 悪寒
 * 発熱
 * 夜間の汗



潜在性結核感染と結核症の違い

潜在性結核感染者   結核症
無症状 以下のいづれかの症状が起こりうる。
  * 3週間以上続くひどい咳
  * 胸部痛
  * 血液や短の喀出(肺の奥からの痰の喀出)倦怠感
  * 体重減少
  * 食欲低下
  * 悪寒
  * 発熱
  * 夜間の汗
病識はない。 通常病識がある。 
感染性はない。 感染性がありうる。 
ツベルクリン反応検査またはQFT検査陽性  ツベルクリン反応検査またはQFT検査陽性
胸部X線検査は所見無し、喀痰検査は菌陰性 胸部X線検査で所見有り、喀痰検査は菌陽性
結核症発病予防のために潜在性結核感染の治療が必要である 結核症の治療が必要である。



updated 09/07/09