結核先進国の経験に学ぶ |
オランダ結核予防会理事長
ブルックマン先生に聞く
(撮影:大武岸次) |
<ブルックマン氏(J.F.Broekmans)> オランダ結核予防会理事長。国際的な結核対策研究の第一人者。 WHOの技術・研究諮問委員会(TRAC)議長、国際結核肺疾患予防連合(IUATLD)理事などを務め、結核サ−ベイランス研究会 (TSRU)の中心的メンバ−。若いころからタンザニア、ベトナム、中国など多くの国で結核対策事業に携わってきた。 |
結核予防会会長 青木 正和
図3 国家結核対策会議 |
青木 結核対策を地方自治体にまかせ、一般保健サ−ビスに統合すると、よほど注意していないと
対策は「抜け殻」になってしまいますね。
ブルックマン われわれは国家結核対策会議(National Tuberculosis Policy Committee)という
会をおよそ2カ月に1回開き、組織の強化を図っています。委員の構成、事務局、主な任務は
図3に見るとおりです。
新しい問題が起きればここに報告してもらい、どう対応すべきか全員で討議します。意見が一致すれば
ガイドラインやマニュアルを作ったりしますが、徹底的に議論を重ね、結論が出るまで1年余りの時間がかかることもあります。
この会議は50年から開かれており、来年には第250回目の記念すべき会が開かれることになっています。
オランダの結核の現状
青木 全国での結核の診断、治療、管理にあたる医師、保健婦、行政官などの代表が2カ月ごとに
集まって徹底的に議論を重ねて、対策をより良くしていくという組織は、わが国も見習いたいですね。
ところで、オランダの結核と対策の実情をもう少し教えて下さい。
図4 オランダの 全結核新登録患者数の推移 (1974〜1996年) |
KNCVの活動
青木 KNCVは最近、途上国への協力を活発に行い、非常に活発化しているように思います。
結核予防会の使命、将来をどのようにお考えでしょうか。
ブルックマン KNCVの国際協力は83年から始められましたが、初めは資金を出し、
スティブロ先生がタンザニアなどで協力を実施する形で始められましたが、88年から次第に
強化され、93年からは非常な勢いで進められています。(筆者注=KNCVの活動状況は、本誌No.246(95年11月号)に
簡単に紹介されています。職員数は少し増え33人になっていますが、国内での活動、途上国13カ国での国際協力のほか、
WHO,IUATLDなどでも活発に活動しています。)
実は最近、KNCVのどこが長所か、どこに問題があるか、外部のマネ−ジメント・コンサルタントに委託して
評価を行ってもらいました。さまざまな勧告を受けましたが、こうして96年に「オランダ結核予防会の使命」が
作られました(表 1)。そして実際には、図5に示した仕事を主要な責務と考え、
日夜仕事を進めています。
表1 KNCV(オランダ結核予防会) の使命 |
図5 KNCV(オランダ結核予防会) の中心的職務 精度の確保 |
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