「あいりん」でDOTSを開始

大阪市環境保健局感染症対策室 予防課課長代理
野間栄三

 

はじめに

 本市では、新登録患者のうち治療中断者が10.6%と、全国平均の4.5%に比して非常に高くなっており、とりわけ、あいりんの患者については19.7%と極めて高率で、5人に1人が治療中断者になっている(コホート分析による肺結核患者の治療成績、1994〜95)。こうしたあいりんの結核患者の治癒率を向上させるため、*関係機関と連携し、平成11年9月27日から、診療所を拠点としたDOTSを実施している。

DOTSを実施している社会医療センターがある愛隣総合センター

大阪市のDOTSの概要

 現在、あいりん地域にある救護施設の入所者、社会福祉法人大阪社会医療センターの通院患者、あいりん検診(あいりんの日雇労働者を対象に愛隣総合センター前で月1回、結核検診車を派遣し、検診を実施している)で発見された要治療の患者を対象に実施している。
 DOTS認定委員会において、患者の病歴、経歴からDOTS治療の適否を判定するとともに治療計画を決定し、本人の同意を得たうえでDOTSが開始される。
 DOTSの患者は、毎週月曜日から金曜日までの毎日(祝日は除く)、社会医療センターにおいてDOTS看護婦の前で服薬を行う。服薬を確認した患者に対しては栄養ドリンクを渡している。

現在の状況

 平成11年9月27日から3名の患者で開始し、12月31日までに7名の患者(治療途中からの患者があったため2名は治療終了)にDOTSを実施している。そのうち5名が施設保護または在宅保護を受けており、1名が簡易宿所、1名が野宿で生活をしている。

最後に

 DOTSの開始から3カ月が経過したが、今後現行のDOTSの充実に併せて、地域を拠点としたDOTSについても検討していきたい。

*関係機関
 大阪市環境保健局感染症対策室、西成保健所、西成保健所分室、民生局総務部保護課、社会福祉法人大阪市社会医療センター、社会福祉法人大阪自彊館


Updated 00/08/11