10.調査・研究・モニタリング事業
菌検査事業
結核菌遺伝子分析調査事業 | |
検体提供患者の同意を得て、RFLP検査を行った。 | |
効果: | 個人情報保護の観点から同意を前提として実施しているため、検査実施数は少ないものの、120検体について分析を実施した。 |
小樽市
結核診断促進事業(非定型抗酸菌の喀痰検査) | |
遺伝子増幅技術(結核菌DNA、結核菌RNA)による非定型抗酸菌の喀痰検査 | |
効果: | 従来の培養方法に加え、遺伝子増幅法を採用することで感染源対策の対象を早期に把握することができ、不必要な命令入所、定期外健診、予防内服を回避できる。 |
結核菌のPCR及びMAC検査 | |
結核菌のPCR及びMAC検査 | |
効果: | 迅速に対応できる検査により、結核の蔓延を未然に防止できる。 |
埼玉県
結核菌RFLP分析調査事業 | |
県内に保存されている菌株についてRFLP分析を行った。 | |
効果: | 埼玉県の結核感染様式を把握することによって、今後の患者発生の際には感染の広がりを予想することができる。また、各事例について正確な感染様式を解明することによって、患者・接触者の管理に役立てることができる。 |
千葉県
DNA解析による結核菌型別と薬剤感受性試験 | |
県内の保健所から12件50株について検査依頼があった。型別成績、薬剤感受性成績を保健所に報告した。 近隣の県との情報交換のため、DNA型別の研修を実施した。 |
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効果: | 型別によって患者間の感染状況を把握できるため、感染源の追求、予防に役立つ。 |
迅速検査法の検討 | |
保健所で実施した結核精密健診受診者のうち菌検査結果が陽性で早期に同定検査が必要な者に対してPCR検査を実施し、迅速検査法による結核菌検査の結果を検討した。 | |
効果: | PCR検査法と通常の塗抹、培養検査の結果を比較検討することにより、それぞれの検査の特徴を把握することができる。 |
結核感染源調査事業 | |
結核患者から分離された結核菌のDNAを制限酵素切断片長多型分析(RFLP分析=DNAパターン分析)することによって結核菌を亜分類(DNA型別)し、これによって結核菌のDNA型の地域特性を明らかにするとともに、感染源、患者の関係を特定して感染拡大の防止を図った。 | |
効果: | 排菌患者の結核菌のDNA型を分析することにより、同一感染を否定するとともに、地域特性を明らかにするためのデータが収集できる。 |
大阪市
結核菌調査委託事業 | |
結核菌の特徴を調べ、本市の地域特性並びに感染経路を解明し、今後の結核対策の整備充実を図るため、市立環境科学研究所へ調査研究を委託した。 |
兵庫県
1.結核感染源調査事業 | |
患者とその濃厚接触者、また既に加療中の患者から分離した結核菌を制限酵素切断片長多型分析(RFLP分析)することによって亜分類し、これによって感染源・患者(感染者)の関係を特定した。 | |
効果: | ・RFLP分析を実施することにより、結核患者と接触した者の二次感染の防止を図るための対策を講じることができ、結核の蔓延を予防する。 ・県内で分離された菌株のRFLPパターンが類似するものについては、今後の分離動向を監視することができ、結核対策の推進に役立てられる。 |
2.結核まん延防止事業 | |
結核患者発生の際に、濃厚接触者を対象に塗抹法及びPCR法に基づいた迅速検査法(アンプリコア法)を用いて、直接喀痰中の結核菌の検索を実施した。また、菌検索には培養法も併せて実施した。 | |
効果: | 結核治療の対象者の確定及び結核菌の早期確定を行うことにより、二次感染の拡大を防止し、結核蔓延状況の改善が図れる。 |
3.結核菌検査精度管理研修事業 | |
結核菌検査技術及び知識の習得に関する研修 アンプリコア・マイコバクテリウム法、MGIT抗酸菌培養法、DDHマイコバクテリウム法、RFLP分析、PCR法 等 |
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効果: | 臨床(衛生)検査技師の検査技術及び精度管理の向上により、適正な診断・治療が行われる。 |
神戸市
治療期間短縮にむけた調査事業 | |
結核健康診断における要精密検査者等を対象に、通常の喀痰検査に加えて迅速診断法(PCR法)による検査を実施した。 | |
効果: | ・迅速診断法(PCR法)による喀痰検査を実施することにより、診断精度や迅速性を確保し、結核患者の早期発見や適正な医療に努めることができる。 ・現在、年間20件前後の陽性例があり、早期診断の一助となるだけでなく、適切な命令入所の発令についても、多大な効果をもたらしている。 |
和歌山県
1.迅速診断法モデル | |
保健所が実施する接触者健診及び管理健診等で喀痰検査の結果、デインジャーグループの者うち、結核症の判定を急ぐ者について、検査機関にPCR法による結核菌核酸同定検査を依頼し、非定型抗酸菌症か否かを迅速に判断した。 | |
効果: | ・検査結果を基に、迅速かつ的確に早期の集団健診等を実施することにより、感染の拡大が防止できる。 ・感染の拡大防止のためには迅速診断法が有効であり、必要であるということが、県下医療機関等に認識されることを目途に引き続き事業を実施する。 |
2.結核感染要因分析 | |
大阪府公害衛生研究センターの協力を得て、塗抹陽性肺結核患者の菌株の型別分析(RFLP分析)を実施し、結核統計の分析を行った。 | |
効果: | ・過去10年間に、御坊保健所管内の罹患率が高い数値を示した原因(感染源及び感染経路)を推察し、効果的な対策を推進することにより、地域医療の向上を図る。 ・平成11年度統計では、罹患率、有病率とも改善が見られる。 |
結核菌DNA解析調査事業 | |
新登録患者の培養された結核菌の菌株を岡山県環境保健センターに集約し、指紋分析(RFLP分析)を行うことで、感染源、感染経路の究明等を検討し、二次感染予防等結核対策に役立つ示唆を得た。 | |
効果: | 県内施設(環境保健センター)において、結核菌のDNA解析調査体制を整えることで、二次感染防止等においてより迅速な対応が可能になるとともに、関係機関(保健所、医療機関及び検査機関等)との連携体制の強化にもつながる。 |
松山市
制限酵素切断片長多型分析(RFLP)法による結核菌検査事業 | |
結核指定医療期間から菌株を提供していただき、その検体を愛媛県衛生環境研究所へ送り、RFLP法での分析を委託した。 | |
効果: | RFLP法により菌株の同定ができることから感染経路の特定や多剤耐性菌等の治療への応用、接触者健診や訪問指導の見直し、結核管理指導の展開ができ、松山市の結核の特性分析ができる。 |
結核感染源追跡調査事業 | |
(1) | 基盤整備 @検査機関である熊本県保健環境科学研究所における機器、物品等の整備 A検査機関である熊本県保健環境科学研究所における人材の養成 結核研究所に保環研担当者を派遣研修 1人 先進地(大分県)の地域研に派遣研修 1人 |
(2) | 実施要領に基づく実施 @担当者会議 結核研究所派遣研修の復命 調査の実施について説明、検討 A八代保健所における別居親子の同時期発病ケース B精神病院における発病患者ケース |
(3) | 評価・分析 結核対策会議において実施状況報告 |
効果: | 結核菌のRFLPパターンの比較から、患者間の結核感染伝播の状況を明らかにすることにより、関連する患者接触者への対応の質的な向上を図ることができる。 |
大分県
RFLP法を用いた感染源の追跡調査及び県内の結核菌動向調査(衛生環境研究センター) | |
(1) (2) |
検査材料 平成12年4月から平成13年3月までの間、県内の医療機関及び県・市保健所等において喀痰から分離された抗酸菌106株について検討を行った。 調査方法 入手した106株について、PNB培地での発育テスト及びナイアシンテスト、DDHマイコバクテリア’極東’、PCR法を用いて抗酸菌の同定を行い、結核菌と同定された株についてRFLP法での検討を行った。 また、結核菌株の保存には、ストックTBによる方法と-80℃凍結による方法を用いた。 |
効果: | 上記の方法において、106株中100株が結核菌と同定された。そのうち、疫学調査から集団感染が疑われた2事例についてRFLP法を行った結果、電気泳動パターンに同一性が確認されず、集団感染の可能性はないと推察された。 県内において分離された結核菌株を保存することにより、長期的に結核菌の動向を把握し、拡大防止のための資料を提供することが可能になったと思われる。 |
結核菌DNA分析による地域結核管理改善事業 | |
(1) (2) (3) (4) (5) (6) |
県内の病院及び保健所等において菌陽性肺結核患者から得た菌株を、結核研究所に送付し、DNA分析を行った。 菌株送付に際しては、各患者の個人識別情報等、必要な情報も提供した。 分析の結果、結核菌が同一または酷似していると判定された患者間の接触関係等について調査し、結核研究所に報告した。 結核研究所は、患者全体の分析結果について解析し、沖縄県サーベイランス委員会に報告した。 委員会は、この報告書及び調査で判明した接触者への対応等について総合的な検討を行った。 関係者の研修会 講師:結核研究所 森 亨氏 |
効果: | 結核研究所との協力事業として実施している事業で、患者間の結核感染伝播の状況を明らかにし、結核研究所の指導のもとに結果の分析を行うことで、関連する患者接触者への対応と定期外健診の対策の質的な向上を図れる。 |