9.調査・研究・モニタリング事業

菌検査事業

北海道   東北   関東   東海北陸   近畿   中国四国   九州   沖縄  

札幌市

結核菌遺伝子分析調査事業
RFLPにより結核菌同定検査を行った。
効果: 個人情報保護の観点から同意書を前提として実施しているため、検査実施数は少ないものの前年度よりも多くの検体を分析し、本市における結核菌分布の様相の一部を解明する。

小樽市

結核診断促進事業(非定型抗酸菌の喀痰検査)
遺伝子増幅技術(結核菌DNA、結核菌RNA)による非定型抗酸菌の喀痰検査
効果: 従来の培養方法に加え、遺伝子増幅方法を採用することで感染源対策の対象を早期に把握することができ、不必要な命令入所、定期外健診、予防内服を回避できる。

群馬県

迅速診断法の検討
対象となる喀痰を衛生環境研究所に搬入してもらい、遺伝子学的手法により、結核菌群・アビウム・イントラセルラーの検出を行った。
効果: ・結核菌の培養検査は、約8週間を要する。抗酸菌の遺伝子を用いた検査では、1日で結果が得られ、約4週間時間短縮される。
・塗抹陽性の喀痰では、1日で結果が得られるため、患者の早期診断や感染防止が図れる。

千葉県

DNA解析による結核菌型別と薬剤感受性試験
県内の患者より分離された結核菌のRFLP分析及び薬剤感受性試験を実施した。
効果: ・結核菌の感染源の追求
・県内の流行状況の把握
・適切な薬剤選択による効率的な医療

滋賀県

結核感染源調査事業
結核研究所の協力により、結核患者から分離された結核菌のDNAを制限酵素切断片長多型分析(RFLP分析=DNAパターン分析)することによって結核菌を亜分類(DNA型別)し、これによって感染源、患者の関係を特定して感染拡大の防止を図るとともに、結核菌のDNA型の地域特性を明らかにした。
効果: 感染源・感染経路を特定することにより、新たな感染を未然に防止することができ、結核の蔓延防止が図れる。

大阪市

結核菌調査委託事業
結核菌の特徴を調べ、本市の地域特性並びに感染経路を解明し、今後の結核対策の整備充実を図るため、市立環境科学研究所へ調査研究を委託した。

兵庫県

1.結核感染源調査の実施
菌陽性結核患者の分離培養された菌株について県立衛生研究所においてRFLP分析を行い、個々の菌株についてバンドのパターンを得るとともに、同一パターンの菌株を探索した。
効果: 感染源の特定、接触者健診の絞り込み等により結核の蔓延状況の改善につなげる。
2.結核まん延防止対策事業
従来の喀痰検査に加え、PCR法(アンプリコア・マイコバクテリウム法)による結核菌の迅速同定検査を行い、結核菌と非定型抗酸菌の鑑別を県立衛生研究所において実施した。
効果: 結核治療の対象の確定及び結核菌の早期確定により二次感染の拡大を防止することで結核蔓延状況の改善につなげる。
3.結核菌検査精度管理研修会の開催
アンプリコア・マイコバクテリウム法、MIGT抗酸菌培養法、DDHマイコバクテリウム法、RFLP分析、PCR法など結核菌検査技術及び知識の習得等に関する研修を行った。
効果: 臨床検査技師の検査技術及び精度管理の向上が図られる。

神戸市

治療期間短縮にむけた調査事業
結核健康診断における要精密検査者等を対象に、通常の喀痰検査に加えて迅速診断法(PCR法)による検査を実施した。
効果: ・迅速診断法(PCR法)による喀痰検査を実施することにより、診断精度や迅速性を確保し、結核患者の早期発見や適正な医療に努めることができる。
・現在、年間20件前後の陽性例があり、早期診断の一助となるだけでなく、適切な命令入所等の発令についても、多大な効果をもたらしている。

和歌山県

1.迅速診断法モデル
保健所が実施する接触者健診及び管理健診等で喀痰検査の結果、デインジャーグループの者のうち、結核症の判定を急ぐ者について、検査機関にPCR法による結核菌核酸同定検査を依頼し、非定型抗酸菌症か否かを迅速に診断した。その結果、結核菌であることが判明すれば早急に集団感染防止の対策を講じた。
効果: 検査結果を基に、迅速かつ的確に集団健診等を実施することができ、感染の拡大が防止できる。
2.結核感染要因分析
大阪府公害衛生研究センターの協力を得て、塗抹陽性肺結核患者の菌株の型別分析(RFLP分析)を実施した。
効果: ・感染源及び感染経路を明らかにし、適切な対策を講じることにより罹患率を減少させる。
・御坊保健所管内の平成10年の罹患率、有病率ともに和歌山県全体のそれを下回る。

岡山県

結核菌DNA解析調査事業
新登録患者の培養された結核菌の菌株を岡山県環境保健センターに集約し、指紋分析(RFLP分析)を行うことで、感染源、感染経路の究明等を検討し、二次感染予防等結核対策に役立つ示唆を得た。
効果: 県内施設(環境保健センター)において、結核菌のDNA解析調査体制を整えることで、二次感染防止等においてより迅速な対応が可能になるとともに、関係機関(保健所、医療機関及び検査機関等)との連携体制の強化にもつながる。

呉市

喀痰検査及び健康教育事業
寝たきり老人寝たきり度B・Cランクの者を対象(141人)として、民生委員児童委員に喀痰検査容器を配布依頼し、保健師が回収し、喀痰検査の結果を患者本人に郵送した。
民生委員児童委員に「民生委員児童委員連絡協議会」開催時に「結核予防」について講話をした。
効果: 結核の再発の可能性の高い既往歴者や寝たきり老人に対して、喀痰検査を実施することにより、結核の早期発見、早期治療の必要性を理解してもらう。

高知市

結核RFLP調査分析事業
従来の保健師の聞き取り調査に加え、分析対象から得られた抗酸菌の菌同定検査を実施し、ヒト型結核菌については結核研究所にRFLP分析を実施依頼した。
効果: 働き盛りや若年者の肺結核の発生がみられ、平成11年1月には中学生の発病があった。この事例は、高知県で初めて結核集団感染の初発患者となった。特に感染経路の追求や、接触者健診の徹底が重要である。この事業の分析結果から、対策の充実を図る。
また、結核病床を有する医療機関も高知市に集中しており、事業の協力依頼により医療機関の確実な菌検査の実施とともに菌検査の精度向上につながる。中学校の集団感染では、同一タイプの菌であったことが確認された。

熊本県

結核感染源追跡調査事業
(1)


(2)
基盤整備
 @検査機関である熊本県保健環境科学研究所における機器、物品等の整備
 A検査機関である熊本県保健環境科学研究所における人材の養成
実施要領に基づく実施
 @有明保健所管内の職場におけるケース
 A水俣保健所管内の病院におけるケース
効果: 結核菌のRFLPパターンの比較から、患者間の結核感染伝播の状況を明らかにすることにより、関連する患者接触者への対応の質的な向上を図ることができる。

大分県

RFLP法を用いた感染源の追跡調査及び県内の結核菌動向調査
菌陽性患者の菌株をもとにRFLP法により結核菌の同一性の判定を行った。
効果: 同一感染源の確認、否定の根拠を示すことができ、仮に院内感染が起こったときに菌の同定をすることができるため、さらなる感染防止が図れる。

沖縄県

結核菌DNA分析による地域結核管理改善事業
(1)

(2)
(3)
(4)
(5)
県内の病院及び保健所等において菌陽性肺結核患者から得た菌株を、結核研究所に送付し、DNA分析を行った(193検体)。
菌株送付に際しては、各患者の個人識別情報等、必要な情報を提供。
沖縄病院、結核研究所、県健康増進課の三者の調整会議を開催し再確認。
結核研究所は、患者全体の分析結果の集計、解析中。
本事業の周知、理解を図るため、沖縄病院・県立病院・保健所の検査技師を対象に「結核菌DNA分析研修会」を開催。参加者19人。
28同一クラスターの接触状況の検討会議(保健所担当者会議にて)。
クラスターの構成員数は2〜12人、クラスターの約半数はサイズ2の小さいものである。
効果: 本事業により350人の患者のうち、114人(32%)が28のクラスターに属していることがわかり、患者間の結核感染伝播の状況を検討したが、接触状況の判明しない例が多かった。しかし、接触状況が明らかになった事例からは接触者健診のあり方が反省材料として浮き彫りになった。また、初回面接での患者の背景、経過把握のための相談記録の内容検討は今後の課題である。