第2回ストップ結核パートナーズ・フォーラムに参加して

3月24日〜26日/ニューデリー(インド)

福井県立大学看護福祉学部
看護学科教授

國分 恵子

筆者(右端),WHO関係者と共に結核研究所のポスター展示の前で

 去る2004年3月24日〜26日にインドのニューデリーで開催された第2回ストップ結核パートナーズ・フォーラムに出席しましたので,その概要を報告させて頂きます。
 このフォーラムは,2001年10月22日〜23日に米国・ワシントンの世界銀行本部ビルで開催された第1回フォーラムに続くもので(複十字誌No.283/2002年1月号参照),300ものパートナーが一丸となり,世界保健機関総会で掲げられた2005年の目標達成のために現在の進捗状況と課題を議論し,政治的関与を喚起することを目的として開催されたものです。出席者は結核高まん延国の保健大臣や各国の保健省国家結核対策担当官をはじめ,国際機関,ドナー,NGO,その他のパートナー等々,300人近い数になりました。
 第1日の式典の挨拶で,アナン国連事務総長(ビデオレター)とリ−WHO事務局長は,世界の結核と闘うためには全世界の協力が不可欠であることを強調し,また,インドのバジパイ首相はインドの結核対策の成果と今後の政治的関与の強化を訴えました。開会式の最後には,世界目標を達成した国に賞状と記念品がバジパイ首相から授与されました。

開会式では,WHOリー事務局長(中央),南アジア世界銀行パテル副総裁(左),
インドのバジパイ首相(右)より挨拶があった

 この会場でストップ結核パートナーシップのパートナーが展示の機会を与えられ,日本の結核研究所も世界における結核対策の活動についてポスター展示を行い,一緒に出席した結核研究所国際協力部企画調査科小原尚美さんが,参加者にマニュアル,パンフレット等を配布し,同時に日本における結核対策や国際研修の現状について説明しました。
 3日間の会議で,結核高まん延国の代表者がこれまでの達成事項とこれからの課題を発表し,世界目標達成のためのDOTS拡大,職場における結核,アドボカシー,プライマリーヘルスケアとNGOなどの様々な角度から議論が行われました。この中で,ストップ結核パートナーシップの成果と,特に結核高まん延国が抱えている問題が明らかになり,長期的な2015年ミレニアム目標及び2005年の目標を達成するために,結核高まん延国,ドナー国,他のパートナーが行わなければならない役割が示されました。また,結核高まん延国で深刻な問題の1つである保健分野の人的欠如について議論されましたが,これには日本の結核研究所における,40年以上にわたる人材育成の実績を持つ国際研修のノウハウが貢献できると思われました。
 日本は沖縄サミットで沖縄感染症対策イニシアティブを旗揚げし,2015年までに結核患者数及び死亡数を半減するという目標を掲げていますが,エイズやポリオに比べて結核対策における政治的関与はまだ薄く,今後,日本政府にどのように働きかけていくかが課題となると思われます。本フォーラムで合意された事項については,結核研究所ホームページ(www.jata. or. jp)に掲載予定です。
 今回のフォーラムへの出席に際してご指導・ご助言頂いた結核研究所長の森先生と,ご同行の上,色々とご配慮頂いた小原尚美様に感謝申し上げます。


updated 04/08/13