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結核ってなあに 結核の予防・検査 結核の治癒 日本の現状 世界の現状

  

       結核の常識     

              日本で最大の感染症、 「結核」について知ってください 

結核は、人から人へとうつる病気「感染症」です。何より怖いのは、自分が結核だと気づかず周りの人々にうつしてしまうことです。

 大正時代から昭和20年代までの永い間、「国民病」「亡国病」と恐れられた結核。当時は年間死亡者数も10数万人に及び死亡原因の第一位でした。医療や生活水準の向上により、薬を飲めば完治できる時代になりましたが、過去の病気と思っていたら大間違いです。今でも1日に86人の新しい患者が発生し、6人が命を落としている我が国最大の感染症なのです。
 結核の初期症状は、風邪とよく似ています。咳やタンが2週間以上続いたら、結核を疑って早めに医療機関で受診してください。
 症状が1ヶ月以上続く人からは25人に1人の割合で結核患者が見つかっています。
結核新登録患者数             31,638人
 (新たに結核と診断され登録された患者)
 
罹患率  24.8
結核死亡数                2,336人 死亡率   1.9
 こんな時はすぐ病院へ

長引く咳  長引く微熱

タンがでる  胸痛

長引く倦怠感  体重減少
   


 

結核ってなあに
結核菌を吸い込むことによってうつります。
 結核とは、結核菌によって主に肺に炎症を起こす病気です。結核菌は重症の結核患者に飛び散り、それを周りの人が吸い込むことによってうつります(空気感染)。

感染しても発病するのは10人に1人程度
 結核に感染しても、必ず発病するわけではありません。通常は身体の免疫機能が働いて、結核菌の増殖を抑えます。しかし、結核菌は強い菌で免疫力だけでは菌を完全に殺すことはできません。そのため、高齢や糖尿病などで免疫力が弱まると、再び菌が増殖を始めて発病するというケースが増えています。

すべての結核患者が感染源になるわけではありません
 発病しても、タンの中に結核菌を出していない軽症の場合は、他人にうつす恐れはありません。重症患者も、結核の薬を飲み始めると、タンの中の菌は激減します。発病しても治療を始めれば、周りの人に感染させる危険性は少ないので、過剰に心配する必要はありません。



 

結核の予防・検査

予防方法
結核に関心を持ち、正しく知ることが予防への第一歩です。また、咳が2週間以上続く場合は、早めに医療機関で受診することも大切です。早期発見に努めることは本人の重症化や感染の拡大を防ぐためにも重要です。

乳児期のBCG接種で結核の免疫力をつける
 抵抗力のない赤ちゃんは、感染すると重症の結核を発病しやすく、生命にもかかわることがあります。これを予防するのが、BCGです。BCGとは、結核の免疫をつけるための予防接種で、効果は15年程度続くと言われています。赤ちゃんが1歳になる前に必ず受けましょう。

抵抗力をつけ結核をはねつけよう
 結核は抵抗力が弱まったときに発病します。そのため、日頃から十分な睡眠と食事、適度な運動などを心掛け、体調を整えていれば、感染しても一生発病しない可能性が高いのです。

どんな検査でわかる?
ツベルクリン反応検査 結核に感染したかどうかを判定します。結核に感染すると人体の中に結核に対する免疫ができるので、このアレルギー反応をみます。
レントゲン検査 結核を発病したかを判定します。
タンの検査 タンの中の結核菌の有無等を調べます。

結核の治癒

結核にかかってしまったら、、、

薬をきちんと飲めば治ります 結核と診断されたら、4種類の薬を6ヶ月間毎日きちんと服用すれば完治できます。タンの中に菌が出なくなれば、外来治療も可能です。

DOTSで治そう!
(直接服薬確認療法) DOTSとは、薬を患者に任せるのではなく、患者が服用するのを医療従事者が目の前で確認し、服用を支援する方式です。新しい結核予防法の第25条に定められた治療法です。
 

日本の現状

日本では、複雑な問題がたくさんあります
高齢者の結核患者が増えています  人口の高齢化に伴って、結核患者も高齢者の割合が増加傾向にあります。若い頃、結核が流行していた世代の人は、結核に既に感染している人が多く、加齢や糖尿病、大きな手術等で体力・抵抗力が低下した時に眠っていた菌が目を覚まし、発病しやすくなります(既感染発病)。また最近では、新たな菌に再び感染し、発病するケースも増えています。

学生・社会人の集団感染が後を絶ちません
 若い世代の多くは、結核菌に未感染のため、結核菌を吸い込むと感染しやすく比較的早い時期に発病する危険があります(初感染発病)。
 また、結核は過去の病気と思いこみ、症状があらわれていても本人も医師も気付かず、受診や診断が遅れ、集団感染を起こす事例が増えています。

社会経済的弱者に結核が発見されています
 大都市の住所不定者など、発見や治療が難しい人々の間に結核が広がっています。

 
世界の現状

世界ではエイズにより拍車がかけられています
世界でのまん延 世界では、総人口の約3分の1(20億人)が結核に感染しており、毎年800万人が新たに発病し、200万人が命を落としています。その多くはアジア地域をはじめとする開発途上国で発生しています。また、HIV感染者の3分の1が結核を発病しており、HIV感染者の増加が結核のまん延を加速させるなど、深刻な問題となっています。
 

 

 

  結核の常識バックナンバー

結核の常識2003、 2002、 2001、 2000、 1999、 1998年


updated 05/08/18